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前理事長コラム
『時代を見つめる』
古賀 伸明

「昨年の単語・漢字」

File.732022年1月12日発行

昨年の暮れに出揃った今年(2021年)の単語・漢字。

興味深い結果であったので、昨年12月のこのコーナーで紹介しようと思っていたが、ドイツのメルケル首相の退任と重なり、そちらを優先したため、年越しのテーマとなってしまった。

英国の「オックスフォード英和辞典」は、今年の単語に「vax」を選出した。ワクチン接種に関連する動詞と名詞、形容詞を省略した単語だ。使用例として、「vax sites」(予防接種会場)や「fully vaxxed」(予防接種2回)などを示している。

米国で英語辞典を発行する、ウエブスター社が選んだ今年の単語は「vaccine」(ワクチン)だ。vaccineの検索件数は2020年から1年で6倍強になったという。「vaccine」の由来は、ラテン語で「牛」を意味する「vacca」で、当初は天然痘から人間を守るための牛痘の接種を意味していたとのこと。

ドイツ語協会が選んだのは「防波堤」だ。新型コロナウイルス感染を防ぐ防波堤の意味だとの解説がある。

この三者は、全て新型コロナウイルス感染症・パンデミックに関連する単語を選んだ。現下の状況から納得できる選定だ。

日本の漢字能力検定協会が募集して「今年の漢字」としたのは、「金」であった。「金」が選ばれたのは、2000年、12年、16年に続き4回目。同協会は、東京五輪で日本人が金メダルを取ったことや、大谷翔平選手が大リーグでMVPを獲得、藤井聰太さんの最年少四冠達成など各界で金字塔を打ち立てたことなどを挙げている。

そして、非常に興味深かったのは、英国の「コリンズ社」が今年の単語と定めたNFT(Non--fungible tokens)である。コリンズ社によると「NFTは唯一の電子証明書。ブロックチェーン上に記録され、芸術品や収集品といった対象物の所有者を証明するために用いられる」と定義されている。今、世界的にNFTを使ったデジタルアートの取引が盛んになっているらしい。

電子データの位置づけや仮想通貨など、ほとんど理解していない私にとって、昨年の9月下旬から新型コロナウイルス感染者が急増し、ピークにまで戻ってしまっている英国の状況の中で、この単語が選ばれたことに興味があるとともに、時代の大きな転換期であることを改めて認識した。

特に情報技術の進歩は、世界を数年単位で大きく変化させる。既に実装が始まった5Gは、これまでの4Gの通信速度を数十倍にして「高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」などの特徴を実現し、既にさらに通信速度を速める6Gの開発も着手されていると聞く。

インターネット革命はブロックチェーン革命へと進化し、ビジネスや経済・社会を大きく変化させながら、従来ほとんど不可能であった便利さや効率など各種のメリットも実現可能になるとも。

せめて社会の動きについていくために、私自身、今年を「デジタル化"学び"の元年」にしなくてはならないかも。

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